アンコール マリアージュ
「新郎新婦、スタンバイOK。始めます」
久保がインカムで全スタッフに合図を出すと、程なくしてオルガンの音色がチャペルの中から聞こえてきた。
梓と希が扉の両側に立ち、目配せしてからゆっくりと扉を開いた。
その瞬間、別世界へといざなわれた気がして、真菜は息を呑む。
「行くぞ」
新郎に声をかけられ、頷いた真菜はゆっくり歩調を合わせて歩み出た。
入り口で二人揃って一礼する。
そして一歩ずつ二人でバージンロードを歩き始めた。
『まず、右足を出して揃える。次に左足を出して揃える、というふうに交互に足を出してくださいね』
いつもお客様に説明しているセリフが頭の中に蘇る。
『新婦様は、ドレスの前の裾を踏まないように気を付けてくださいね』
そこまで思い出した真菜は、ふとある事に気付いてそっと新郎の様子をうかがう。
(この方、挙式の流れを説明されてるのかしら?)
このあと、誓いの言葉や指輪の交換、そして誓いのキスもある。
(どうしよう、ご存知ですかって聞いてみる?いや、そんなコソコソしてちゃいけない。なんたって陸・璃子カップルみたいに、憧れの結婚式ってイメージでやらなきゃ。って、私、凄い仏頂面してた?!」
急に焦り始めた真菜は、取り敢えずにっこり笑ってみた。
(ええい、もう成るようにしか成らない!)
開き直って余裕の笑みを浮かべながら、ちらりと新郎を見上げたりして、幸せな新婦を演じる事に徹する。
やがて二人は牧師の前に並んだ。
オルガンの音が消え、牧師が話し始めるが、真菜は必死でこの後の流れを思い出す。
(えっと、讃美歌を歌って、誓いの言葉を…。あ!まさか、璃子ちゃん達の名前のまま?どうなってるのかな。それに誓いのキス!璃子ちゃん達は本物のカップルだから、いつも普通にキスしてて、それがお客様のキュンキュンポイントだったけど、まさか今回はねえ。ちゃんとほっべにしてくれるよね?)
久保がインカムで全スタッフに合図を出すと、程なくしてオルガンの音色がチャペルの中から聞こえてきた。
梓と希が扉の両側に立ち、目配せしてからゆっくりと扉を開いた。
その瞬間、別世界へといざなわれた気がして、真菜は息を呑む。
「行くぞ」
新郎に声をかけられ、頷いた真菜はゆっくり歩調を合わせて歩み出た。
入り口で二人揃って一礼する。
そして一歩ずつ二人でバージンロードを歩き始めた。
『まず、右足を出して揃える。次に左足を出して揃える、というふうに交互に足を出してくださいね』
いつもお客様に説明しているセリフが頭の中に蘇る。
『新婦様は、ドレスの前の裾を踏まないように気を付けてくださいね』
そこまで思い出した真菜は、ふとある事に気付いてそっと新郎の様子をうかがう。
(この方、挙式の流れを説明されてるのかしら?)
このあと、誓いの言葉や指輪の交換、そして誓いのキスもある。
(どうしよう、ご存知ですかって聞いてみる?いや、そんなコソコソしてちゃいけない。なんたって陸・璃子カップルみたいに、憧れの結婚式ってイメージでやらなきゃ。って、私、凄い仏頂面してた?!」
急に焦り始めた真菜は、取り敢えずにっこり笑ってみた。
(ええい、もう成るようにしか成らない!)
開き直って余裕の笑みを浮かべながら、ちらりと新郎を見上げたりして、幸せな新婦を演じる事に徹する。
やがて二人は牧師の前に並んだ。
オルガンの音が消え、牧師が話し始めるが、真菜は必死でこの後の流れを思い出す。
(えっと、讃美歌を歌って、誓いの言葉を…。あ!まさか、璃子ちゃん達の名前のまま?どうなってるのかな。それに誓いのキス!璃子ちゃん達は本物のカップルだから、いつも普通にキスしてて、それがお客様のキュンキュンポイントだったけど、まさか今回はねえ。ちゃんとほっべにしてくれるよね?)