アンコール マリアージュ
 ドレスが決まったところで、希が早速ドレッサーの前に新婦を促し、ヘアメイクを始める。

 「髪型やメイクのご希望はございますか?どの様なイメージになさいますか?」
 「え、そ、そんな。私、普段全然気にしてなくて…、いつもスッピンだし。あの、お任せしてもいいですか?」

 かしこまりました、と希は笑顔で頷き、壁に掛けたドレスと新婦の顔を見比べながら、慣れた手つきでメイクを施していく。

 「では、続いて新郎様も衣裳を選んで頂けますか?」

 真菜は、新婦のドレスに合う新郎の衣裳を3着持って来た。

 「いかがでしょう?お好きな衣裳はございますか?」
 「ええー、そうか、俺も着替えるのか。うーん、分かんないな」

 新郎が困った様に新婦を見る。

 「幸一(こういち)もちゃんと選びなよ。どれがいいの?」
 「いやー、どれも豪華で、なんか気後れする」

 真菜は、男の子の前にしゃがんだ。

 「翼くんは?パパ、どれが似合うと思う?」

 すると男の子は、うーんと考えてから、これ!とアイボリーの衣裳を指差した。

 「え、翼、パパこれが似合うと思うの?」

 新郎が驚いた様に言う。

 「うん!パパ、これきて」
 「翼がそう言うなら、決まりだね!」

 新婦も笑顔で頷いた。
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