アンコール マリアージュ
 祭壇の前まで来ると、先回りしていた真菜が屈んで二人を誘導し、牧師の前に促した。

 「え、信じられない…」

 新婦が呟く中、やがてオルガンの音が消え、列席者は着席する。

 そして厳かに式は始まった。

 牧師の話が始まり、皆で賛美歌を歌う。

 まだ半分呆然としながら涙ぐむ新婦に、真菜は小さく折ったティッシュをそっと手渡した。

 誓いの言葉を、牧師が読み上げる。

 「新郎、高木(たかぎ) 幸一。あなたは新婦、由香里を妻とし、病める時も健やかなる時も、貧しき時も富める時も、妻を愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」

 新郎は、しっかり頷いて答えた。

 「はい、誓います」

 新婦の目から、さらに涙が溢れ落ちる。

 「新婦、高木 由香里。あなたは新郎、幸一を夫とし、病める時も健やかなる時も、貧しき時も富める時も、夫を愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」

 声を震わせながら、新婦も答えた。

 「はい、誓います」
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