アンコール マリアージュ
 「やーん、由香里、すっごく綺麗!写真撮ろー」

 高砂席に次々と友人達がやって来て、新郎新婦を取り囲み、撮影大会が始まる。

 食事を食べる暇もなく、友人達と話しては写真を撮るお二人の真ん中で、翼だけはパクパクと美味しそうにお子様ランチを平らげていた。

 途中、ウェディングケーキの入刀やファーストバイトなども、友人の司会により大盛り上がり。

 担任だった先生のスピーチでは、相変わらず話が長いでーすなどとヤジが飛び、また笑いに包まれた。

 そして、新婦の兄が撮影したばかりの挙式の様子が、スクリーンに大きく映し出されると、友人達は静まり返り、涙ぐみながら見つめていた。

 お開きが近付き、司会をしていた夏海がスピーチを始める。

 「えー、幸一、由香里、改めてご結婚おめでとうございます。高校3年の冬、由香里から、赤ちゃん産む事にしたって聞いた時、私、由香里に、酷い事を…」

 そう言って涙で言葉を詰まらせる。

 「そんなの無理に決まってる、やめなよって。酷い事を言って、本当にごめんなさい!」

 頭を下げる夏海に、新婦は優しく笑って首を振る。

 「私、今は本当に後悔してる。ごめんね、由香里。あの時私の言葉を聞き流してくれて、本当にありがとう。可愛い翼くんを産んでくれて本当にありがとう。今、幸一と三人で幸せでいてくれて、本当に本当にありがとう!これからも、ずっとずっと幸せでいてね」

 夏海、ありがとうね。

 新婦が答え、会場からも大きな拍手とすすり泣きが聞こえてきた。
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