アンコール マリアージュ
 パーティーは無事にお開きとなり、帰り支度をした新郎新婦とご家族を見送りに、真菜は真と一緒に地下駐車場に下りた。

 「幸一、由香里ちゃん。今日は本当におめでとう。良い式とパーティーだったな」
 「由香里ちゃん、とっても綺麗だったわ。写真、楽しみにしてるわね」
 「はい。届いたらおうちまで持って行きますね」

 そう言って車に乗り込んだ新郎の両親を見送ると、新婦は、はあーと大きなため息をついた。

 「由香里、お疲れ様」
 「ほんと、疲れたー。お母さんもお疲れ。見て、翼ったら、ぐっすり」

 新郎の肩に頭を載せてスヤスヤ眠る翼の頭をなでる。

 「でも良かったな、由香里。お母さん、今日は本当にありがとうございました」

 新郎が礼を言うと、新婦も笑う。

 「ほんと。色々びっくりさせられたけど、嬉しかった。ありがとね、お母さん。でも、サプライズはもうこれ切りにしてよ。寿命が縮んじゃうわ」

 あははと皆が笑っていると、新婦の兄が、あのーと声をかけた。

 「実はさ、もう一つサプライズがあって…」

 ええ?!と新郎新婦が振り返る。

 「な、何よ?お兄ちゃん」
 「うん、あのさ。俺の上司に今日の話をしたら、おもしろそうだから、しっかり撮っておけって。撮れ高次第では番組で流すってさ」
 「えっ!お兄ちゃんがADやってる番組って、『リフレッシュ!』でしょ?そこで流すの?」
 「そう。使えそうならね」

 嘘ー!と、新婦は頬に手を当てて驚く。

 「あの番組のイケメンMC、私、好きなんだよねー。もし映像使われたら、私を見て何かコメント言ってくれるのかな?」
 「ん?まあ、そうだろうな」
 「きゃー!やだー!綺麗な花嫁さんとか言われたらどうしよう?お兄ちゃん、絶対使ってもらって!頑張ってね!」
 「あ、ああ、分かった」

 新婦の勢いに苦笑いしながら、兄は真に向き直る。

 「そういう訳で、ディレクターの返事がもらえたら、すぐご連絡しますね」
 「かしこまりました。お待ちしております」
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