アンコール マリアージュ
 そして新郎新婦やご両親も、改めて真菜と真に頭を下げた。

 「本当に、何から何までお世話になりました。お陰様で、とても良い記念になりました」
 「こちらこそ、お手伝いさせて頂き、大変光栄でした。皆様のお幸せそうなご様子に、私もとても感動して、こちらまで幸せな気持ちにさせて頂きました。素敵なご家族ですね。どうぞ末永くお幸せに…」

 真菜の言葉に頷き、皆は車に乗り込んで去って行った。

 深々とお辞儀をして見送ったあと、ようやくホッとして真は真菜を見る。

 が、次の瞬間、真は思わずぶっと盛大に吹き出した。

 「な、何?いきなり」
 「だ、だってお前!凄い顔」

 真は腹を抱えて笑い出す。
 そして思い出した。

 挙式中もパーティーの途中でも、真菜は事あるごとにダーッと号泣しては、コソコソ壁際で涙を拭いていた事を。

 あんなに泣き続けたら、顔が腫れるんじゃないかと心配していたが、案の定だった。

 「お前さ、前、見えてるか」
 「どういう意味ですか?んー、そう言えばちょっと視界が狭いかも」
 「そりゃそうだろう。コテンパにやられたボクサーみたいな顔だぞ?」
 「ええー?失礼な」
 「ほんとだって!多分、スマホの顔認証もだめだろうな」
 「まっさかー!」
 「やってみ!ほら、スマホ出して。絶対認証してもらえないって」
 「ええー、そんな大げさな…。あ!ほんとだ!」

 だろ?と、真はさらに大きな声で笑い出した。
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