アンコール マリアージュ
 「みんなー、片付けは最低限で上がってねー。明日も明後日も、挙式と打ち合わせがフルで入ってるんだからねー」

 久保の声に、皆は、はーいと返事をしながら、大急ぎで片付けていく。

 披露宴会場も、控え室やオフィスも、バタバタと忙しそうにスタッフが駆け回っていた。

 最低限にしようとは思っても、やらなければいけない事は山ほどある。

 気付けば時刻は22時半になっていた。

 (こんなに遅くては、やはり心配だ)

 真は真菜に、寮まで送って行くと声をかけようとした。

 その時、オフィスにカメラマンの小野が顔を覗かせた。

 「真菜ー、終わったか?そろそろ帰るぞ」
 「あ、うん。もうすぐ終わる。拓真くん、着替えてくるから待っててくれる?」
 「オッケー」

 声をかけそびれた真は、その場に立ち尽くしていた。
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