アンコール マリアージュ
 「は、は、初めまして!あ、いえ、入社面接でもお会いしましたが…あの、わたくし、齊藤 真菜と申します。どうぞよろしくお願い致します」
 「齊藤 真菜さんですね。社長の齊藤 (のぼる)です。今日はわざわざありがとう。さ、どうぞ座って」
 「はははい!失礼致します」

 真菜はガチガチになりながら、なんとかソファにちょこんと腰掛ける。
 
 「真菜、落っこちるぞ。もう少しゆったり座ったら?」

 隣から真がこっそり声をかけてくるが、真菜は、いえ、と手を振る、

 「その様なお気遣いはご無用です」

 すると先程の女性がコーヒーを運んで来て、三人の前に置く。

 真は、テーブルの真ん中に置かれた砂糖を、真菜の近くに移動させた。

 「あ、いや、そんな、かたじけない」
 「真菜、大丈夫か?相当変だぞ?」
 「あ、私のことはどうぞお構いなく。お見捨ておき下さい」

 ヒソヒソ小声でやり取りしていると、またもや咳払いが聞こえてきた。

 「あー、邪魔をして申し訳ないが、そろそろ話をしても?」
 「はははい!もちろんですとも」

 真菜は姿勢を正して社長に向き直る。
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