アンコール マリアージュ
「真菜さん。先日のサプライズウェディングでは、本当に良い働きをしてくれましたね。お陰でテレビの反響も予想以上、我が社は、一気に注目を浴びました。本当にありがとう」
「いえ、とんでもない。お役に立てたのであれば、何よりでございます」
「それでね、あの放送以降、雑誌やテレビの取材依頼が殺到しているんだよ。もちろん式場の取材が多いのだが、社長の私にインタビューしたいというものや、真菜さんをご指名で密着取材したいという話もある。何なら、私と真菜さんの対談も、なんて言われてね。どうだろう?引き受けてくれないだろうか?」
えええー?!と真菜は、思わず仰け反る。
「その様な身に余るお話、わたくしにはとても…」
「まあ、そう言わずに…。こんなに我が社が注目を浴びるなんて、初めての事でね。この波に乗って、是非とも更なる飛躍を遂げたいと思っているのだよ。どうだろう?無理にとは言わないが、これならやっても構わない、と思うものはないかね?」
「そそそんな、滅相もない。わたくしが表に出たのでは、社のイメージダウンに繋がりかねません。その様な事になれば、わたくしは、皆様に合わせる顔もございません」
社長は、参ったという様に苦笑いする。
「真、お前から真菜さんに頼んでくれないか?どうやら仲睦まじい様子だし」
含んだ言い方をする社長に、真はゴホンと咳払いしてから口を開く。
「決してその様な事はございませんが…。取材依頼の中に、結婚情報誌のものがありましたよね?」
「ん?ああ。ドリーム ウェディングという雑誌の事か?」
えっ!と真菜が小さく声を上げる。
「はい。その雑誌なら、彼女にも合っているのではないかと思います。ウェディングプランナーの仕事を紹介するページで、インタビューは少しだけ、あとは彼女の1日の様子を追いかけて記事にしてもらえるようでした。それに我が社は今、慢性的な人材不足です。テレビ放送後、更に現場は忙しくなりました。あの雑誌でうちのプランナーが紹介されれば、求人にも反響があるかと」
ドリーム ウェディングは、真菜が毎号欠かさず買っている雑誌で、式場やドレス、指輪や引き出物などの情報はもちろん、結婚式にまつわる仕事を紹介するページもあった。
ヘアメイク、フラワーアーティスト、介添え、料理長、そしてもちろんプランナーも。
その人の1日を密着して紹介するそのページを、真菜はいつも興味津々で読んでいた。
(あのページに私が?)
社長は、真の話になるほどと頷き、真菜に聞いてくる。
「どうだろう?真菜さん。その雑誌の取材だけでも、引き受けてもらえないかな?」
「い、いえ!あのコーナーは、私もいつも拝読しておりますが、皆様そうそうたるプロフェッショナルな方ばかりでございます。わたくしのような未熟者が紙面に載るなど、とてもとても…」
真菜がブンブン手を振って断ると、社長は苦笑いしながらうつむいた。
「いやー、なかなか筋の通ったお嬢さんだ」
そして顔を上げると、真に声をかける。
「真、午後の俺との会食はキャンセルだ。その代わり、真菜さんを食事にお誘いしなさい」
ええ?と驚く真に、社長は真剣な表情で詰め寄った。
「いいか、必ず真菜さんを説得しなさい。私は社運を掛けているんだからな」
初めて見る鋭い視線の社長に圧倒され、真は生唾を飲んで頷いた。
「いえ、とんでもない。お役に立てたのであれば、何よりでございます」
「それでね、あの放送以降、雑誌やテレビの取材依頼が殺到しているんだよ。もちろん式場の取材が多いのだが、社長の私にインタビューしたいというものや、真菜さんをご指名で密着取材したいという話もある。何なら、私と真菜さんの対談も、なんて言われてね。どうだろう?引き受けてくれないだろうか?」
えええー?!と真菜は、思わず仰け反る。
「その様な身に余るお話、わたくしにはとても…」
「まあ、そう言わずに…。こんなに我が社が注目を浴びるなんて、初めての事でね。この波に乗って、是非とも更なる飛躍を遂げたいと思っているのだよ。どうだろう?無理にとは言わないが、これならやっても構わない、と思うものはないかね?」
「そそそんな、滅相もない。わたくしが表に出たのでは、社のイメージダウンに繋がりかねません。その様な事になれば、わたくしは、皆様に合わせる顔もございません」
社長は、参ったという様に苦笑いする。
「真、お前から真菜さんに頼んでくれないか?どうやら仲睦まじい様子だし」
含んだ言い方をする社長に、真はゴホンと咳払いしてから口を開く。
「決してその様な事はございませんが…。取材依頼の中に、結婚情報誌のものがありましたよね?」
「ん?ああ。ドリーム ウェディングという雑誌の事か?」
えっ!と真菜が小さく声を上げる。
「はい。その雑誌なら、彼女にも合っているのではないかと思います。ウェディングプランナーの仕事を紹介するページで、インタビューは少しだけ、あとは彼女の1日の様子を追いかけて記事にしてもらえるようでした。それに我が社は今、慢性的な人材不足です。テレビ放送後、更に現場は忙しくなりました。あの雑誌でうちのプランナーが紹介されれば、求人にも反響があるかと」
ドリーム ウェディングは、真菜が毎号欠かさず買っている雑誌で、式場やドレス、指輪や引き出物などの情報はもちろん、結婚式にまつわる仕事を紹介するページもあった。
ヘアメイク、フラワーアーティスト、介添え、料理長、そしてもちろんプランナーも。
その人の1日を密着して紹介するそのページを、真菜はいつも興味津々で読んでいた。
(あのページに私が?)
社長は、真の話になるほどと頷き、真菜に聞いてくる。
「どうだろう?真菜さん。その雑誌の取材だけでも、引き受けてもらえないかな?」
「い、いえ!あのコーナーは、私もいつも拝読しておりますが、皆様そうそうたるプロフェッショナルな方ばかりでございます。わたくしのような未熟者が紙面に載るなど、とてもとても…」
真菜がブンブン手を振って断ると、社長は苦笑いしながらうつむいた。
「いやー、なかなか筋の通ったお嬢さんだ」
そして顔を上げると、真に声をかける。
「真、午後の俺との会食はキャンセルだ。その代わり、真菜さんを食事にお誘いしなさい」
ええ?と驚く真に、社長は真剣な表情で詰め寄った。
「いいか、必ず真菜さんを説得しなさい。私は社運を掛けているんだからな」
初めて見る鋭い視線の社長に圧倒され、真は生唾を飲んで頷いた。