アンコール マリアージュ
 「うわー、夜景がキラキラ!すっごく綺麗!」

 観覧車の窓から外を眺めて、真菜は子どもの様に喜ぶ。

 (確かに綺麗だし、恋人達にとってはロマンチックなシチュエーションだけど…。一体何が残ってるんだ?)

 てっきりプロポーズがゴールだと思っていたのに、まだ真菜の中では何かが残っているらしい。

 (プロポーズのあとは、結婚だろ?まさかここで挙式って事はないよな?うーん、分からん)

 仕方なく、真は外の景色を眺めた。

 ゆっくりと時間をかけながら、二人の乗った観覧車は頂点を目指して行く。

 「あと半分位かな?頂上まで」

 真菜が、ソワソワと窓から上を見上げながら言う。

 「頂上で、何かあるのか?」

 真が聞くと、真菜は、ふふっとはにかむ。

 (頂上でやる事って…何だ?)

 考えても分からない。

 そうこうしているうちに、ゆっくり頂上が見えて来た。

 「来るかな…来るかな?今?今よね?」
 「ああ、そうだな」
 「やったー、てっぺんー!」

 真菜は思わず興奮して立ち上がり、次の瞬間ぐらりと揺れた観覧車に足を取られて体勢を崩した。

 「わっ!」
 「危ない!」

 真が慌てて抱き留める。

 顔と顔がくっ付きそうになり、真菜は慌てて真から離れ、向かい側に座り直した。
< 163 / 234 >

この作品をシェア

pagetop