アンコール マリアージュ
約束は守りますからね?!
 (はあ…)

 大きなため息をつきながら、真は社長室の前で立ち止まる。

 気が重い。だが、報告しない訳にはいかない。

 気を決してドアをノックした。

 「社長、真です」
 「どうぞ」
 「はい。失礼致します」

 ドアを開け、硬い表情でお辞儀をしてから顔を上げると、社長はにこにこと真に笑顔を向けていた。

 「昨日は、休ませて頂きありがとうございました」
 「いやいや、休んでいた訳ではないだろう?良くやってくれた」
 「は、あ、あの?」

 真がキョトンとしていると、社長は立ち上がり、真の肩をポンと叩いてきた。

 「助かったよ、真。これで我が社は、ますます大きく宣伝される」
 「あの…、取材の件は」
 「ああ。今朝、真菜さんから電話があったよ。雑誌の取材、引き受けるってな」
 「えっ!」
 「早速先方にも連絡した。大変喜ばれたよ。通常よりもページ数を増やして、彼女を特集したいと。真、取材の日は彼女をサポートしてあげなさい。分かったな?」
 「は、はあ」

 半分首をひねりながら、真は気の抜けた返事をした。
< 167 / 234 >

この作品をシェア

pagetop