アンコール マリアージュ
 司会者の進行で、乾杯やスピーチなど、滞りなく披露宴は進んでいく。

 「お飲み物は、何がよろしいですか?」

 真菜は身を屈めてお二人の後ろから尋ね、料理やドリンクをサーブする。

 そして、テーブルクロスを少しめくって、お酒が多すぎるときは、下に置いてあるこの容器に流して下さいね、と囁いた。

 友人達が写真を撮りに集まってくると、代わりにシャッターを押し、新婦のベールや髪飾りを整え、邪魔にならないように低姿勢で壁際に下がる。

 真菜はひたすら、黒子に徹していた。

 途中、お色直しの為、新婦がお母様と手を取り合って退場すると、真菜はすぐさま控え室に案内した。

 ふう、と新婦は椅子に座ってひと息つく。

 「お疲れ様です。少し時間がありますので、休憩して下さいね」

 ウェディングドレスを脱ぎ、こちらが用意した白いワンピースに着替えてもらうと、ドレッサーの前で希が髪型を変えていく。

 有紗も、カラードレス用のブーケとブートニアを用意した。

 真菜は、テーブルの上にトレーを置いて声をかける。

 「新婦様、お飲み物とお食事、少しこちらにもご用意しました。あまり召し上がれなかったですよね?」
 「うわー、ありがとうございます!そう、みんなと写真撮ってて、せっかく美味しそうなのにほどんど食べられなくて…。嬉しい!頂きます」

 真菜は頷くと、あとは希達に任せて一旦披露宴会場に戻る。
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