アンコール マリアージュ
 「真菜、ストップ!」

 デスクから資料を取り、急いでサロンに戻ろうとした真菜の手を久保が掴んだ。

 「はい?どうしました?」
 「真菜、あんたお昼食べた?」
 「あ、それなら、この接客が終わってから食べようかと」
 「何言ってるの。もう夕方の5時よ?」

 え?と驚いて時計を見る。

 朝から次々と打ち合わせのお客様に対応していて、全く気付いていなかった。

 「真菜、一旦休憩しなさい。そのままだと倒れるわよ」
 「あ、はい。じゃあ、せめてこのお客様の打ち合わせが終わってから…」

 久保は、小さく息を吐き出してから、頷いた。
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