アンコール マリアージュ
 運転手に、寮へ向かってくれと言って、真菜を自分の肩にもたれさせる。

 様子をうかがうと、呼吸も苦しそうにじっと目を閉じたままだった。

 額に手を当て、その熱さに真は驚く。

 (無理がたたったか…。もう少し早く手を打つべきだった)

 真菜が忙しくなる事は分かっていたのに…

 まさかここまで反響があるとは思わず、事態を甘く見過ぎていた。

 現場は、自分達本社の人間が思っていた以上に混乱していたのだ。

 (すまなかった、真菜)

 真は、ギュッと唇を噛み締めた。
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