アンコール マリアージュ
 朝になり、真菜は真の買ってきたたまご粥とヨーグルトを、仏頂面で食べていた。

 「もう、真さんの嘘つき!」

 恨み節を言いながら、バクバクと勢い良く口に運ぶ。

 真菜が再び目覚めた時、真の姿はなく、テーブルにメモが置かれていたのだ。

 『粥とヨーグルトは冷蔵庫の中だ。今日の仕事は休め。店長に連絡しておく』

 何これー、電報か?と言いながら、真菜は、勝手に帰ってしまった真にムッとしたのだった。

 「ちゃんと帰ってきてねって言ったら、もちろんって言ったよね?真さん。ま、そりゃ確かにここには帰って来たんでしょうけどさ」

 ブツブツ言いながら食べ終え、時計を見ると9時半を過ぎていた。

 「店長、もう来てるかな」
 
 オフィスに電話をしてみると、すぐに久保が出た。

 「真菜、熱が出たんですって?そりゃそうよ。無理しすぎよ?今日はゆっくり休みなさい」
 「あ、はい。でももうすっかり平熱みたいなんですけど…」
 「だめよ。それに専務からも言われたの。ちゃんと休ませるようにって。だから1日ゆっくりしなさい」
 「分かりました。ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします」

 真菜は電話を切ると、ふうとひと息つく。

 「暇だなー。何しよう」

 思いがけない休日。
 だが、出歩く訳にもいかず、結局その日はベッドの中でゴロゴロしながら過ごした。
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