アンコール マリアージュ
 「間に合ったか?てっぺんだった?」
 「う、うん。そうみたい」

 すると真は、ヤッター!と両手を挙げて、天井にグキッと指を突いた。

 「いってー!」
 「もう真さん、観覧車の中って狭いんだからね?暴れないで」
 「それを言うなら真菜だろう。前回、途中で降りようとしたもんな」
 「ふーんだ。今日は大人しく下まで待ちますよ」

 そして二人で黙って外を眺める。
 そのうちに、ふと冷静になって思い返した。

 「あの、ま、真さん?」
 「う、うん?なんだ?」
 「さっき、その、なんて、言ったの?」
 「そ、それなんだけど。俺、とっさに、その…」
 「まさか、け、結婚…とか言わなかったよね?」
 「いや、それが、ついうっかり、言っちゃって…」
 「つい?!ついって…。結婚ですよ?ついうっかりプロポーズする人なんて、います?」
 「いや、でも、真菜だって、はい!って返事したじゃないか」
 「それはだって、勢いに呑まれて、つい…」
 「ほら、真菜だって、ついうっかり返事したじゃないか」

 うぐっと言葉に詰まり、真菜は視線を落とす。
< 220 / 234 >

この作品をシェア

pagetop