アンコール マリアージュ
 「はい、そのまま!撮りまーす。いいね!」

 拓真の声に合わせて、陸と璃子がポーズを取る。

 「璃子ちゃん、もう少し目線上にくださーい。はい!そこ」

 少しずつ角度を変えながらシャッターを切る拓真と、流れるようにポーズを変えていく陸と璃子。

 そんな撮影風景を、真菜は希や有紗と一緒に、うっとりと見つめていた。

 「はあー、素敵!桜の花びらがふわっと璃子ちゃんの周りに舞って、まるで花の妖精みたい」

 真菜の言葉に有紗も頷く。

 「ほんとよねー。同じ人間とは思えない」
 「分かります!もう神々しいですよね。希先輩のメイクで、さらに美しいし」

 時折、希がメイクを直し、場所を移動する時は真菜がドレスのトレーンを持つ。

 途中で衣裳チェンジがあり、希も璃子のヘアメイクを変え、有紗も別のブーケを用意した。

 撮影は長時間に及んだが、陸も璃子も疲れた素振りも見せずに終始笑顔で撮影に臨んでいた。

 「はい、以上で終了です!お疲れ様でしたー」

 拓真の声に続いて、皆が二人に拍手する。

 「とってもいい写真が撮れたよ。ありがとう!後日、何枚かプレゼントするね」
 「ありがとうございます!拓真さん、凄く綺麗に撮ってくださるから、いつも楽しみなんです」

 拓真と握手してから、陸と璃子は控え室に戻った。

 「璃子ちゃん。ブーケ、プレゼントするわね。持って帰って」
 「ええー、いいんですか?ありがとうございます!有紗さん」

 希に髪型をハーフアップに変えられた璃子が、ブーケを手に有紗に微笑む。

 そんな璃子を、陸も嬉しそうに見つめていた。
< 27 / 234 >

この作品をシェア

pagetop