アンコール マリアージュ
 「へえー、素敵な写真じゃない!」

 いつの間に来たのか、真菜達のすぐ後ろでモニターを覗き込んだ久保が、明るい声を上げる。

 「ですよね!店長、この写真、フェリシア 横浜のホームページに載せたらどうでしょう?」
 「いいわね!桜の木の下でドレスの写真が撮れるなんて、うちの良いアピールになるかも。本部に話してみるわ」
 「ぜひぜひ!」

 真菜に頷いたあと、久保は思い出したように話題を変えた。

 「ところでさ、明日新入社員の入社式でしょ?午後にオリエンテーションがあって、その翌日、つまり明後日からそれぞれ配属先でOJTが始まるの。うちにも1人配属されてくるんだけど、そのトレーナーを真菜にしようかと思ってるの」

 ええー?!と、思わず真菜は仰け反った。

 「わ、私をトレーナーに?!店長、なんて恐ろしいことを…」
 「でしょー?恐ろしいわよねー。ってことで、明後日からよろしくね!」

 そう言って去って行く。

 「て、店長。意味が分からないんですけど。ってことでって、どういう事?」

 両手で頬を押さえて呆然とする真菜を、拓真が笑い飛ばす。
 
 「ははっ!こりゃ見ものだな。真菜が新人を教えるのか。あー、恐ろしや」
 「もう!拓真くんってば、他人事だと思って」
 「ま、せいぜい頑張れよー」

 軽いノリでそう言われ、とにかく頑張ろう!と真菜は気合いを入れた。
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