アンコール マリアージュ
 「うーん…」

 オフィスのデスクで、園田様・上村様のアンケートを見ながら、真菜は思わず腕組みする。

 「どうしたの?何かあった?そのお客様、日程も仮押さえしてもらえたんでしょ?」

 斜め向かいの梓が、パソコンから顔を上げて真菜に聞いてくる。

 「あ、はい。ガーデンでの人前式をご希望で、ご両親や親戚の方から日取りのOKがもらえたら、正式にご成約いただけるそうです」
 「良かったじゃない」
 「そうなんですけど、ちょっと気になってて…」

 すると、久保や周りのスタッフも真菜を見る。

 「なあに?何が気になるの?」
 「はい、新婦様の様子がちょっと、お元気なくて…。新郎様は、終始にこにことお話してくださるんですけど、新婦様はずっとうつむいて、時々小さく頷かれるだけで…」

 なるほど、と梓は椅子にもたれて考え込む。

 「単なるマリッジブルーならまだいいけど、そうでないとしたら…」
 「ないとしたら?」

 心配になって、真菜は梓の方へと身を乗り出す。

 「望まない結婚…とか?」

 えっ!と思わず真菜は絶句する。
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