アンコール マリアージュ
ノーリアクションですか?!
 それから数日後、園田様・上村様カップルが再び来店し、正式に挙式の日取りを決めた。

 「ご成約、誠にありがとうございます。素敵な結婚式となりますよう、精一杯お手伝いさせていただきます」

 真菜と美佳が頭を下げると、新郎も、よろしくお願いしますと、にこやかな笑顔を浮かべる。

 真菜は、ちらりと新婦の様子をうかがってみたが、やはりどこか固い表情のままだった。

 「では、こちらが結婚式当日までのスケジュールでございます。まずは、招待状の作成と発送ですね。そのあとも、引き出物の手配、お料理やデザート、テーブルコーディネートなど、色々と決めていただきたい事があるのですが、やはり1番は新婦様のウェディングドレスでしょうか?」

 そう言って真菜は、新婦に笑顔を向ける。

 「先日はドレスのご紹介だけでしたので、今日は実際に試着されてみてはいかがでしょうか?」
 「あ、ええ」

 新婦は、無表情のまま短く答える。

 「ご試着は、もちろん何度でも大丈夫ですので、今日決めなくてはいけない訳ではありません。ただ、クリーニングの関係で、挙式の日に使えないドレスも出てきますので、もしお気に召したドレスがありましたら、お早めに予約された方がよろしいかと」

 真菜の言葉を聞いて、新郎も新婦に話しかける。

 「そうだよ、亜希(あき)。やっぱり女の子は、ドレスが1番気になるだろ?他の人に予約されちゃう前に選んだら?」

 すると新婦は、おずおずと新郎の顔を見上げてから頷いた。

 「では、早速いくつか選んでいきましょうか」

 真菜は、笑顔で新婦の前に、ドレスのカタログを置いた。
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