アンコール マリアージュ
 「新婦様は、どういったドレスがお好みですか?何かイメージとか、こだわりはありますか?」

 ページをめくりながら話しかけるが、新婦は何かを答えるでもなく、ただぼんやりとカタログに目を落としている。

 「では、ドレスのシルエットから見てみましょうか。プリンセスラインのものは、お姫様の様に可愛らしい雰囲気になります。この辺りのドレスがそうですね」
 「へえー、ゴージャスだなー」

 新婦の代わりに、新郎が身を乗り出してカタログを覗き込む。

 「こちらはAラインのドレスです。アルファベットのAのようなシルエットで、上品な雰囲気かと思います」
 「ふーん、確かに」

 これまた新郎が相槌を打つ。

 「それと、こちらはマーメイドラインのドレスですね。名前の通り人魚姫のような、女性らしく大人っぽいドレスです。さらに、ストンとしたシルエットのスレンダーライン、胸の下で切り返したエンパイアラインなどもあります」
 「おおー、こんなのもあるんだ」

 分かりやすい新郎の反応は有り難いが、肝心の新婦は、やはり無反応のままだ。
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