アンコール マリアージュ
 (うーん、どうしたものか…)

 少し考えてから、提案してみる。

 「カタログの写真では分かり辛いですものね。実際のドレスを見ながら選んでみましょうか?」
 「ああ、その方がいいよね」

 新郎の問いかけに、ようやく新婦が小さく頷く。

 「では、これから試着室にご案内いたしますね。準備をしますので、少々お待ちいただけますか?」

 そう断ってから、真菜は書類を手に立ち上がる。

 美佳と一緒に一旦オフィスに戻ると、試着室入ります!と声をかけながら、ホワイトボードの『試着室』の欄に、使用中のマグネットを貼る。

 何も言わなくても、美佳は心得たように、手にしたメモ帳に手順を書き込んでいた。

 行ってらっしゃーい、の声に見送られ、真菜は美佳と新郎新婦のもとに戻る。
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