アンコール マリアージュ
「あ、わたくしアニヴェルセル・エトワール 、フェリシア 横浜の齊藤と申します。いつもお世話になっております。あの、本日ブライダルフェアの模擬挙式で依頼させていただいたモデルさんは…え?」
真菜の顔から、サーッと血の気が引いていく。
「ど、どうしたの?ちょっと、ね、何かあったの?」
必死に小声で聞いてくる久保に、真菜は呆然としながら呟いた。
「陸・璃子カップル、今日は別のホテルのブライダルフェアで仕事してるそうです」
「ええ?!どういう事?それ…つまり」
「モデル事務所の方が、ダブルブッキングしてしまったって…」
一瞬の静寂の後、オフィスは一気に大混乱に陥った。
「嘘でしょ?!どうするのよ!もう10時20分よ」
「あの、今から別のモデルさんを手配するっておっしゃってて…」
「無理よ!間に合わない」
希の叫ぶような声に圧倒されて、真菜は取りあえず電話口の相手に断って、一旦電話を切った。
「仕方ない、誰か新郎新婦役やって」
久保が言い、オフィス内にいるスタッフをぐるっと見渡す。
カメラマンの男性が二人、事務のパートの50代の女性が二人、ヘアメイクの希、そして…
「真菜!あなたが新婦役やって!」
最後に目に留まった真菜に、久保が険しい顔つきで言う。
「え、え、ええ?!無理ですよ、私なんて」
「じゃあ他に誰がいるの?」
「それは、その、梓先輩とか…。あと、そう!今日は他店から若い女の子もヘルプに来てくれるし」
「梓も他のプランナーも、もう接客に入ってる。それにヘルプの子達は11時にならないと来ない」
「じゃ、じゃあ店長!店長は?」
久保は、急にモアイ像のような顔になり、真菜を威圧する。
「真菜、あんた私の年、知ってるわよね?」
「は、はい。お美しい奇跡の50才です」
「言わんでいい!とっとと控え室行けー!」
希が、観念しなさいとばかりに、真菜の腕を掴んで引っ張って行く。
「あ、あの、私の担当のお客様は~」
「清水様ね。私に任せなさい」
そう言って久保は、真菜を追い払うように手を振った。
真菜の顔から、サーッと血の気が引いていく。
「ど、どうしたの?ちょっと、ね、何かあったの?」
必死に小声で聞いてくる久保に、真菜は呆然としながら呟いた。
「陸・璃子カップル、今日は別のホテルのブライダルフェアで仕事してるそうです」
「ええ?!どういう事?それ…つまり」
「モデル事務所の方が、ダブルブッキングしてしまったって…」
一瞬の静寂の後、オフィスは一気に大混乱に陥った。
「嘘でしょ?!どうするのよ!もう10時20分よ」
「あの、今から別のモデルさんを手配するっておっしゃってて…」
「無理よ!間に合わない」
希の叫ぶような声に圧倒されて、真菜は取りあえず電話口の相手に断って、一旦電話を切った。
「仕方ない、誰か新郎新婦役やって」
久保が言い、オフィス内にいるスタッフをぐるっと見渡す。
カメラマンの男性が二人、事務のパートの50代の女性が二人、ヘアメイクの希、そして…
「真菜!あなたが新婦役やって!」
最後に目に留まった真菜に、久保が険しい顔つきで言う。
「え、え、ええ?!無理ですよ、私なんて」
「じゃあ他に誰がいるの?」
「それは、その、梓先輩とか…。あと、そう!今日は他店から若い女の子もヘルプに来てくれるし」
「梓も他のプランナーも、もう接客に入ってる。それにヘルプの子達は11時にならないと来ない」
「じゃ、じゃあ店長!店長は?」
久保は、急にモアイ像のような顔になり、真菜を威圧する。
「真菜、あんた私の年、知ってるわよね?」
「は、はい。お美しい奇跡の50才です」
「言わんでいい!とっとと控え室行けー!」
希が、観念しなさいとばかりに、真菜の腕を掴んで引っ張って行く。
「あ、あの、私の担当のお客様は~」
「清水様ね。私に任せなさい」
そう言って久保は、真菜を追い払うように手を振った。