アンコール マリアージュ
 翌朝、いつも通り6時に起きた真は、着替えと洗顔を済ませてダイニングに向かう。

 ドアを開けると、コーヒーの良い香りがした。

 「おはようございます。今、朝食運びますね」

 真菜がキッチンから声をかけてきた。

 「秘書さんが買っておいてくれたクロワッサンと、あとは冷蔵庫の卵とチーズでオムレツにしました。それからサラダとヨーグルト」

 真は、思いがけない朝食に驚く。

 「朝からこんなに作ったのか?」
 「作ったのはオムレツだけですよ?」
 「だが、お前が俺の分まで作る必要はない。自分の朝食だけ気にしろ」
 「いえ、私の方がご馳走になってるんです。昨日の夕食も、この朝食も。それにお部屋を使わせてもらってるのに、何もしないなんて…。せめて、このくらいはやらせてください。でないと本当に肩身が狭くて」

 真は、少し考えてから口を開く。

 「分かった、好きにしたらいい。だが、無理にやる必要はないからな」
 「はい!好きにやらせていただきます」

 真菜はにっこり微笑んだ。
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