アンコール マリアージュ
そして4日後の5月11日。
約束の18時に、園田様と上村様がやって来た。
真菜と真は並んで向き合う。
「真菜さん、本当に本当に申し訳ありませんでした」
新婦の亜希が、深く頭を下げた。
「私、どうかしてました。彼と結婚出来る事が嬉しかったのに、本当に私でいいんだろうかって段々不安になってきて…。私なんて、気の利いた話も出来ないし、一緒にいても楽しくないだろうって。打ち合わせで、彼が真菜さんと楽しそうに会話するのを見て、私もこんなふうに彼を明るくさせたいって思って、でも出来なくて。怖くなったんです、いつか私は彼に捨てられるんだろうかって。でも、どうしても彼と結婚したかった。だって、彼のこと、ずっとずっと好きだったんです。子どもの頃からずっと…」
そして、ポロポロと涙を溢す。
「そのうちに私の心は歪んでしまいました。真菜さんに、間違った敵意を向けてしまったんです。真菜さんが、担当を外れてくれたらいいのにって、1度考え始めたら止まらなくなって…。ほんの少しだけ、脅かしてみよう。そしたら元気がなくなって、彼とも楽しく話さなくなるかもしれない。もしかしたら、仕事もお休みするかもしれないって。でも真菜さんは変わらなかった。それでつい…」
言葉を詰まらせる彼女の背中を、新郎がなでる。
「すみません、つい…頼んでしまったんです。少しだけ、真菜さんを怖がらせてくれって。闇バイトの見ず知らずの人に、そう頼んで…、尾行して怖がらせるだけでいいって。でもその人、真菜さんを…押し倒したって聞いて。本当に、本当にすみませんでした」
再び深々と頭を下げた。
「今となっては、よく分かります。女性にとって、それがどんなに恐ろしい事だったのか。それなのに、感覚が麻痺していた私は、さらに手紙をもう一通出してしまいました。暴走していた私を、ようやく齊藤さんが止めてくださって。それも、決して責める訳でもなく。全てをご存知なのに、殴られても、警察に引きずっていかれても当然だったのに…。本当に申し訳ありませんでした」
新郎も隣で頭を下げる。
約束の18時に、園田様と上村様がやって来た。
真菜と真は並んで向き合う。
「真菜さん、本当に本当に申し訳ありませんでした」
新婦の亜希が、深く頭を下げた。
「私、どうかしてました。彼と結婚出来る事が嬉しかったのに、本当に私でいいんだろうかって段々不安になってきて…。私なんて、気の利いた話も出来ないし、一緒にいても楽しくないだろうって。打ち合わせで、彼が真菜さんと楽しそうに会話するのを見て、私もこんなふうに彼を明るくさせたいって思って、でも出来なくて。怖くなったんです、いつか私は彼に捨てられるんだろうかって。でも、どうしても彼と結婚したかった。だって、彼のこと、ずっとずっと好きだったんです。子どもの頃からずっと…」
そして、ポロポロと涙を溢す。
「そのうちに私の心は歪んでしまいました。真菜さんに、間違った敵意を向けてしまったんです。真菜さんが、担当を外れてくれたらいいのにって、1度考え始めたら止まらなくなって…。ほんの少しだけ、脅かしてみよう。そしたら元気がなくなって、彼とも楽しく話さなくなるかもしれない。もしかしたら、仕事もお休みするかもしれないって。でも真菜さんは変わらなかった。それでつい…」
言葉を詰まらせる彼女の背中を、新郎がなでる。
「すみません、つい…頼んでしまったんです。少しだけ、真菜さんを怖がらせてくれって。闇バイトの見ず知らずの人に、そう頼んで…、尾行して怖がらせるだけでいいって。でもその人、真菜さんを…押し倒したって聞いて。本当に、本当にすみませんでした」
再び深々と頭を下げた。
「今となっては、よく分かります。女性にとって、それがどんなに恐ろしい事だったのか。それなのに、感覚が麻痺していた私は、さらに手紙をもう一通出してしまいました。暴走していた私を、ようやく齊藤さんが止めてくださって。それも、決して責める訳でもなく。全てをご存知なのに、殴られても、警察に引きずっていかれても当然だったのに…。本当に申し訳ありませんでした」
新郎も隣で頭を下げる。