アンコール マリアージュ
 「園田様、上村様、もう顔を上げて下さい」

 真菜が優しく声をかける。

 「でも、私は真菜さんに酷い事を…。真菜さんは、何も悪くないのに」

 泣き続け、謝り続ける新婦に、真菜が話し出す。

 「新婦様、私はずっと願っていました。新婦様が、私に心を開いて下さるようにって。いつもどこか暗い表情の新婦様が、心から結婚式を楽しみにして下さるようにって。だからこれからは、何でも私にお話して下さい。そして、結婚式を一緒に素敵なものにしていきましょう」

 そう言って笑いかける真菜に、二人は言葉を詰まらせながら泣き、そして頷いた。

 サロンの出口で見送る時、真菜は先週届いたばかりの招待状を渡し、宛名書き、お二人で頑張ってくださいね、と笑顔を向ける。

 何度も頭を下げてから、ようやく笑顔で帰って行く二人を見ながら、真はポンと真菜の頭に手を置いた。

 「良く頑張ったな、真菜」

 不意をつかれた真菜は、涙目になって微笑んだ。
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