これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
《げんき?》
《とてもげんきです》
《うそつけ》
授業中だと思う時間だって、できる限りメッセージを送ってくれる。
先生にバレちゃったらスマホ没収されちゃうんじゃないの…と心配しつつも、本当はすごくうれしい。
あのあと、駅前で。
去って行ってしまった勝吾くんを見送ったあと、私はどうやって家に帰ったのか記憶が曖昧だった。
ただ、その夜に三好くんから電話が来たことだけは覚えている。
そこで大泣きをしてしまったことも。
《泣いてんの》
《とても笑ってます》
《うそつけ。あとで休み時間、電話する》
本当の彼氏には距離を置かれて、ニセモノの彼氏は気にかけてくれる。
だとしても、ニセモノはニセモノ。
彼は本当の彼氏じゃない。
彼には、すごく可愛い彼女さんがいる。
『昨日より声やば』
「えっ…、やっぱり…?」
『顔もやばいんだろーね』
「……うん」
明日にはどうにかしなくちゃ。
姿を見ていないのに、電話だけで当てられてしまう現状。