これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
「あ…」
身体を離してすぐ、顎を引き上げて強引にも視線を合わせた。
「これ邪魔すぎ」
「み、よっ、───…っ!」
マスクをパッと下げて、その代わりフードを被せて安心を作ったのは一瞬。
そのまま俺はセンパイとの距離をゼロにする。
「ふ…、んん…っ!」
やべ、やわらかい。
ありえないくらい柔らかいし、こんなの止まれそうにない。
「っ、んんっ」
よくわかんない、もう。
本当にわかんなくて、俺は結局なにがしたいんだよって最近思って。
だってゲームは半分終わっているようなもので、あとは俺のためにセンパイを利用するかしないかってところだけ。
そんなのセンパイを傷つけるだけで終わらないかって、本当は今だって考えてるよ。
『でもテクニックはないでしょ?俺はあんたみたいに、ぜんぶのものを傷つけて壊していくような下手なやり方はしないんで』
あのゴミクズ野郎にそんなこと言ったくせ、きっと大切にしなければいけない存在をたったひとり泣かせている俺は。
テクニックなんか、ないくせに。
あるように見せて何もない、下手くそが。