これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
「………えっ」
「この具材で…作ろうとしてたの、よね?」
「……うん」
「大丈夫なの桜乃!!ちょっと待って?熱ある?最近ずっと顔赤いもんね?
無理しなくていいのよこーいうときは…!ねえあなた!!」
これっ、これ見てあなた!!
これで桜乃はお味噌汁を作るんだって…!
───と、リビングのソファーでくつろいでいたお父さんを呼んだお母さん。
すぐにドタバタドタバタと駆けつけてくるお父さん。
も、その具材たちを見て慌て出す。
「ちょっ、これは法廷闘争になるぞ桜乃…!!」
「……なる、これは…なる、ね。ごめんなさい…」
我が家の法廷闘争は、幅広い。
「いや謝らなくていいんだ!謝ることでは、ない!断じて!!
たまにはこういう味噌汁が飲みたくなるときもあるもんな?ははっ、でもそれはまた今度にしようか桜乃…!!」
「……うん」
ふぉーく、すぷーん、トマト、ちくわ、仕上げにマヨネーズ。
とんでもない組み合わせが用意されていた。
そして無意識にそれらを用意したのは、もちろん私だ。