これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
守れなかったルール
「さくのっ、さくのさくの!桜乃!!」
「わっ、わわっ、どうしたのともちゃん…!」
───それは、夏休み直前の終業式の朝だった。
私が教室へ入ると、何かに追いかけられているのかってくらいに走り向かってきた友達。
「ウワサ聞いた!?校内ビックニュースなんだけど!!」
「え…、なんのこと?」
と言いつつも、学校中の騒がしさは感じていた。
女の子だけじゃなく、それはもう男の子も噂立てをしていたから。
どんな内容なのかは詳しく聞き取れなかったけれど、みんなが顔を見合わせては驚いているようで。
「三好 奈都が!!高田 セレナじゃない女の子とっ!!手つないで歩いてるところを見た女子生徒が!!いんのよ!!!」
「っ、」
「やばくない?高田 セレナを差し置いて出てきた女がやばくない!?」
「そ、そんなウワサが……回ってる、の…?」
「そうそう!タイムラインでも盛り上がってるっぽいし、全校生徒まで大騒ぎよ!だって……」
そして私は次に、全校生徒に回っているという衝撃的な噂内容を知ることになる。