これが恋だなんて、知らなかったんだよ。




ちがう、そうじゃないの。

なんとか無事に屋上で合流できた放課後、私は呆気に取られてしまった。



「三好くん」



私が小さく呼ぶと、すぐに目を向けてくれる。



「ど、どうして私のことばっかり心配してくれるの…?三好くんと高田さん、別れたって言われちゃってるんだよ…?」



別れたくないから、けれど見返したかったから私たちはチームを組んだ。

でもそこにある本来の目的は、“見返したあと”でしょう…?


本当の愛を確かめる、ってこと、だよね…?


もちろん私のほうは終わっちゃったけれど、三好くんと高田さんはまだ希望があった。



「私たちこのままじゃ…、負けちゃうよ」



引き分けの可能性もあったの。

三好くんと高田さんの仲が元通りになれば、それは引き分けということだから。


でも三好くんはもう、高田さんとの仲を修復するつもりがないように私には見えた。

むしろこの噂がどんどん広がって、本当に終わればいいって。


そんなふうに感じる。



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