これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
そしてストンっと、その場に腰を落とす。
私を腕に抱えたまま、今度は地べたに座った三好くんの膝のなか。
三好くんは自分だけのものにするみたく、私を隠してしまった。
「三好くん…!ちゃんとお話しないとっ」
「うるさいよ」
「う、うるさいって…、こら!」
「……それはかわいい」
「っ、そーいうことっ、言ってるんじゃなくて…!」
ホワイトムスクに酔いそう。
私だけを見てくれる甘い眼差しに、溶けちゃいそう。
1歳しか変わらないのに私より背も大きくて、手も大きくて、びくともしなくて。
「あの噂、本当だから」
「…え…?」
「俺はセレナを振った。別れようって伝えた」
私は最低だ。
そのときまず最初に心に生まれた気持ちは、喜びだった。
だとしてもそれを消すように疑問と、納得のいかない何かと、絶対的な確信が埋め尽くしてゆく。
「三好くんが高田さんを振るわけ、ないから…」
「…なんで?」
「だって、このゲームを始めたのが…三好くんだからだよ」