これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
たぶん、それがダメなんだ。
頑張ってる頑張ってる、私はどうしてこんなに頑張ってるのに同じくらいのものが与えられないのって。
心のどこかではいつも思ってしまってたんだ、私は。
それで勝手に傷ついて、馬鹿みたいだよ。
《ともちゃん大丈夫…?》
《微熱プラス女の子特有のアレが追加されて、ちょっと今日だけバタンキューかも。
ごめん桜乃、お昼とかひとりにさせちゃうけど…》
《私のことは心配しないで。お大事にね》
ともちゃんがいない日。
それは私が休み時間や移動教室をひとりで過ごす日。
お弁当を持ったひとりぼっちのお昼休みのこと、教室で食べようと思った私は、ふと窓から覗く青空を見上げた。
「天気だけはいいんだよね…」
暑すぎることもなく、まだ寒くもなく、こういうときは騙された気になって気分を変えてみるのもいいかもしれない。
「屋上…、行ってみようかな」
意外と屋上は生徒たちがいない穴場だった。
それは屋上に入れることを認知している生徒が少ないということで、だから彼もいつも呼び出す場所に使っていたのもひとつの理由だろう。