これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
伝わった精いっぱい
「バイト、やめちまえよもう」
「えっ」
やばい、これはやばい。
素のともちゃんのなかでも1位を表すほどのドスの利いた声。
が繰り広げられたのは、変わらない日々を過ごしている今日という日の放課後。
ともちゃんに誘われた寄り道にて、並んで歩いているときだった。
「と、ともちゃん…?」
「パスタ作れなかっただけでなんだっつーんだよ。あ?こいつは一生懸命ピザ作ってたろうが」
「へ…?どうして知ってるの…?」
ともちゃんあの日、もしかしてファミレスに来てた…?
ぐるぐる思考を動かしていると、ピタリと止まったともちゃん。
同じように足を止めた私に向き合った表情は真剣だった。
「桜乃!私ってそんな頼りない!?」
「え…」
「つらいこも大変なこともっ、確かに聞くことぐらいしかできないけど…!
でもっ、少しくらい話してくれたっていいじゃん!なんのために中学から友達やってんの私たち…!!」
「わ、わ!」
「私の名前知ってる?知ってるよね!?友を果たすで友果なの!!なんっにも果たせてねえだろうが!!!おいっ、なあ!!」