これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
ニセモノの恋人
見返す、って、結局はどういうことなんだろう。
なにを、だれに、どんなふうに見返したいんだろう。
その終着駅には、誰が立っているんだろう。
了承してしまったはいいものの、メッセージアプリに入った“三好 奈都”という名前を何度も目でなぞっては、ぐるぐると考えを巡らせた。
《まずは俺たちと同じ苦しみを味わってもらう》
ピコン、新着メッセージが1件。
……どこかに監視カメラでもついているのだろうか。
なぜか私が悩んでいたことが、遠隔で伝わっている。
《それから相手の出方によってどーするかは、それぞれ好きなようにどうぞ》
これは“本当の愛”を確かめるだけのゲームなのだから。
最悪、別れるということも視野に組み込まれている。
勝吾くんがそれでもあの人を選んだとき、また三好くんの彼女さんが勝吾くんを選んだとき。
そのとき私たちのゲームは負けが決まる。
でも、“ごめん”って、彼らが自分の非を認めて私たちにすがり付いてきたとき。
それは私たちの勝利が決定した瞬間だ。