これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
「……ほわいとむすく」
《うん、わかった》と、余裕あふれる返信は文字だからこそ。
枕に顔を埋めて、屋上でのことを思い出すと、無意識にもつぶやいてしまう単語。
ちなみにあのあと急いでバイトに駆けつけた際、バイト仲間たちに悲鳴を浴びせてしまっては、うしろを通るたびに幽霊扱いをされたという出来事が。
まあ、うん、ひどく申し訳ないものを見せてしまったとは思っている。
「そうだ、ホットタオル…」
目を休ませてあげないと。
そうじゃなきゃ、明日はもっとパンパン。
ともちゃんは勘が鋭いから、たぶん顔を会わせて2秒で「勝吾に何された?」と聞いてくるに違いない。
ともちゃんは私と勝吾くんの共通のお友達でもあって、ともちゃんが居たから私は勝吾くんと出会うことができて、
ともちゃんが居たから私たちは付き合うことができたと言っても過言ではなかった。
─────ピコン。
せっかくいい感じに馴染んできたホットタオルを目から退かしてまでスマホを確認したのは。
“彼”じゃないかと期待してしまったから。
《おやすみ。また明日》