これが恋だなんて、知らなかったんだよ。




「ふふっ。…三好くんらしいな」



あれくらいしてくれないと、きっと私はまた見て見ぬふりをつづけていた。

だからあれで良かった。
ああしてくれて正解だった。


今があるから、そう言える。



「───…出会えて、よかった」



彼がどういう選択をしたのかは分からないけれど。

ただ校内は、3度目のビックニュースに包まれた。


なつセレカップルは実はとっくに別れていて、“なつセレカップル”という名前を守るためだけの関係だった───と。


なによりそう説明したのが高田 セレナということが、誰をも黙らせる一撃となった。


ようやくそんなニュースも沈静化してきていた今日。

穏やかな日々が、私の心にも流れていた。



「三好くんが選んだことだもんね」



私の恋は、こういう結末だった。

たとえ彼らが別れたとしても、もう終わった私がどうこうすることじゃない。


私はもう、振られている。


叶うばかりが恋じゃないこと。



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