これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
「おい塩沢!あんた嘘だったら許さないからね…!?」
「ほんとだって!三好のクラスメイトでもある俺の弟が本人から直接聞いたって言ってたんだよ!」
「きゃーーーっ!!!」
と、いうことらしい。
そうなんだ、三好くんが言ったんだ…。
三好くんのお友達情報なんか初めて聞いたなあ…。
「ふふふ、ここに答えがあるってのになあ。さいっこうだなあ高見の見物ってやつぁよお」
そんな光景を見つめながらニヤニヤと、私の肩を組んできた悪代官さん。
「って、どう考えてもあんたのことなのに。なんでそんな他人事なのよ桜乃」
「と、ともちゃん…!静かにっ」
「へーきへーき。みんなそれどころじゃないんだから」
合同授業は体育の実技。
ジャージに着替えて、赤くなる顔をどうにか冷まして、ともちゃんから逃げるようにグラウンドへ向かった。
「よし、じゃあ終わり!号令!」
「「「ありがとうございましたー」」」
そして彼とはとくに話すことはないまま、合同授業は終わりを告げる。
ただ授業中、何度か目が合ってはうまく逸らしたつもりでなんとか乗りきった私。