これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
「あ、見られたっぽい」
「えっ」
「でも俺は全然いーけど」
「だっ、ダメだよ行こう…!」
サッと三好くんの腕を取って学校を出る。
「ははっ。そこで手つないでくれるのがセンパイだよね」
さすがに見られたらまずい…!
こんな私と関わりを持っているだなんて、誰もが認めない組み合わせだ。
「へーきだよ。大人しい生徒っぽかったし、話題性は低そう」
「だめだめっ!三好くんはこの学校のアイドルだから…!」
アイドルと一般人。
ファンは認めないだろう、そんなの。
こんなふうにいつも必死なのは私で、そんな本人さんといえば、わりと落ち着いてたりして。
そしてある程度学校から離れた場所まで来ると、今度ゆっくり指を絡ませてくるのは彼だった。
「ここならいーでしょ、さくの」
「っ、…うん」
なまえ、なまえ…!
まだ慣れない、慣れるわけがない慣れるものじゃない。
「どっか寄ってく?それとも俺と散歩でもする?」
「えっと…、えっと、」
「えっと?」
「…!」