これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
戸惑っている私に、答えなんか知っているくせにわざわざ覗き込んでくる安定の三好フェイス。
ともちゃんがいつも言っているから覚えてしまった。
「お、お散歩…したいな」
「…かわい」
「っ、そーいうのはっ、言ったら法廷闘争だよ…!」
「はは、なんで」
彼氏と彼女。
どうやら私たちの今の関係は、そう言うらしい。
まだまだ学校では秘密いっぱいだけど、私しか見ることができない三好 奈都が今も隣にいた。
「それで今週末のデートは俺の家ね」
「…え…、三好くんの…おうち…?」
「うん。そこで持ってきて欲しいものがあるんだけど、さ」
強引に取り付けられたデートの約束よりも、初めてのお呼ばれにドキドキいっぱいで。
そのあとの会話が頭に入っていなかった私は。
「水着。ほら、見れなかったから。それ、持ってきてというか……着て欲しいんだよ、俺だけの前で」
「うん」
「……よし」
初めて見た、三好くんの小さなガッツポーズ。
………え?
ごめんね三好くん。
私いま、たぶん、お話をよく聞いていませんでした。
「えっ、水着……?き、着る…って…?」
「安心してくれていーよ。さいあく暖房つけるから寒くないし」