これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
しかし、ふと、あることに気づく。
なんかこれって、逆にやましいことをしているみたいだ。
直接的に何かするわけでなくとも、誰にも見られないようにスマホ内で会話して。
もちろん友達に怪しまれて、でも“なんでもないよ”と誤魔化す。
もしかして、三好くん。
あえてそれを狙ってる……?
「げっ!!ちょっと…!」
「えっ、…あーーっ!!」
こんなタイミングで画面がパッとついて、そこに表示された名前をたまたま目にした友達が驚いたように「げ」と言っては席を立つ。
続いて私までもが声を上げたことにより、教室内で注目を浴びてしまい。
それを察したともちゃんは、
「もう!お茶こぼしちゃったんだけど!」
なんて、堂々たる大嘘をついた。
「桜乃のせいでもあるんだから!来て!」
「えっ、来てって……」
「トイレ!一緒にカーディガン洗ってもらわなくちゃ!」
でもともちゃん、濡れてないよね…?
そもそもお茶なんかこぼしていないし、無理やりすぎないかな…?
という意見は、言ったところで変わらなかった。