これが恋だなんて、知らなかったんだよ。




「じゃあ…ともちゃんもだったりする…?」


「あ、言ってなかったけど。他校に彼氏いるんだよね私」


「……え」


「2ヶ月目、突入です」



って、ハートマーク付きで言われても…。

そちらの驚きのほうが大きかった私は「えっ!!!」と、すぐに理解と共に響かせた。



「おっ、おめでとう…!ええっ、どうして言ってくれなかったの…!」


「だーって最近は勝吾のことで悩んでる桜乃しか見てないから、言えなかったんだもん」


「…ともちゃん」



ごめんね、本当にごめんね。

いつもともちゃんは空気が読めて、優しくて、自分よりも相手を優先させることができる女の子。


私も見習わなくちゃと思って生活してはきたけれど、空回ってばかり。



「あー、もう。そんな顔させたかったわけじゃないの私は!でもなんか、こんなこと言うのもアレだけどさ。
三好 奈都と出会ったことで、桜乃が前向きに変わればいいなーって思ったよ」



ともちゃんの何気ない一言に、私の決意は固いものに変化した。


そうだ、これは前向きなことなんだ。

言ってしまえばこのゲームは、私たちが変わるための“とっかかり”のようなもの。



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