これが恋だなんて、知らなかったんだよ。




「っ…、ぅぅ…っ」



たまに、メールがくる。

《これね、このシリーズの新作》と、画像つきでゲームソフトのこと。

それだけがメッセージになって送られるだけ。


隠しとおせるなら、隠しとおすつもりなんだ勝吾くんは。


こんなの完っ全に都合のいい女確定。
誰がどう見たって、一番なわけがない。



「ひどいよな、ほんと。…こんな泣かせるなんて」



そう言った三好くんの声もまた、震えていた。



「あ、そうだ。センパイに見せたいものあった」



三好くんが言う“センパイ”は、敬うという意味合いなどすっ飛ばした言葉にしかなっていない。


改めて呼ばれて「あ、私って先輩だった…」と、気づく。


そんな後輩くんはスマホを取り出して、なにやら写真を漁っている。

探し物が見つかったようで、私の前に見せてくれたのは───



「友達と競ってたの。数学の時間に加藤(かとう)をどっちが上手く描けるかって」


「今日描いたの…?」


「…そ」



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