これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
わりと偏差値高いじゃん、ここ───と。
ということは、中学生の頃から付き合っていたということ。
でもそうだよね。
みんな最初から悪者なわけじゃない。
最初からそうだったら、そもそも付き合おうなんて思わないもん。
どこかで歯車をかけ違えちゃって、そのまま進んで、もうぐちゃぐちゃ。
「なんか……ごめんね、本当に」
「…なんでセンパイが謝んの」
「えっと、三好くんみたいな格好いい子が、あんなって言っちゃうのは良くないけど…、勝吾くんはとくべつ魅力的な顔立ちをしているとか、じゃ、ない…から」
変な話、浮気するべき人間は三好くんだ。
あなたじゃないの、勝吾くん。
誰もが振り返るくらい女の子に人気で、みんなが陰から狙っているらしい三好くんこそ、いろんな女の子を弄(もてあそ)ぶべきであって。
もう1度言うけれど、あなたじゃないの勝吾くん。
「だから申し訳なくなっちゃって…。一応は勝吾くんの彼女として───、わ!」
離れていたはずの身体が、再び引き寄せられていた。
「まあでも今は、俺の彼女でもあるけど」
「っ…」