これが恋だなんて、知らなかったんだよ。




わりと偏差値高いじゃん、ここ───と。


ということは、中学生の頃から付き合っていたということ。


でもそうだよね。
みんな最初から悪者なわけじゃない。

最初からそうだったら、そもそも付き合おうなんて思わないもん。


どこかで歯車をかけ違えちゃって、そのまま進んで、もうぐちゃぐちゃ。



「なんか……ごめんね、本当に」


「…なんでセンパイが謝んの」


「えっと、三好くんみたいな格好いい子が、あんなって言っちゃうのは良くないけど…、勝吾くんはとくべつ魅力的な顔立ちをしているとか、じゃ、ない…から」



変な話、浮気するべき人間は三好くんだ。

あなたじゃないの、勝吾くん。


誰もが振り返るくらい女の子に人気で、みんなが陰から狙っているらしい三好くんこそ、いろんな女の子を弄(もてあそ)ぶべきであって。


もう1度言うけれど、あなたじゃないの勝吾くん。



「だから申し訳なくなっちゃって…。一応は勝吾くんの彼女として───、わ!」



離れていたはずの身体が、再び引き寄せられていた。



「まあでも今は、俺の彼女でもあるけど」


「っ…」



< 38 / 267 >

この作品をシェア

pagetop