これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
そのとき勝吾くんは驚いていたけれど、すごく喜んでもくれたから。
それから特別な日でもないのにゲームソフトだったりをプレゼントしちゃって。
アルバイトで稼いだお金はすべて彼に費やした。
それは現在進行形でも、だ。
「…うん。来月、覚えておくね」
「まじ!よっしゃありがと!!」
だから、彼だけが悪いわけじゃない。
私にだって落ちぶれていた理由があった。
ねえ、勝吾くん。
昨日、私ね、駅で見ちゃったの。
勝吾くんが他の女の子と手を繋いでいるところ。
きっと、勘違いだよね。
───もしここで聞けていたら、あんな逃げ場のない公開処刑のようなものを目撃するハメにはならなかったのかな。
でも彼が浮気していてくれたから、私はあの子と出会うことができた。
そして。
息もできないくらいに苦しくて、胸が痛いくらいに切なくて、ちょっとのことでふわっと幸せいっぱいで温かくなるような。
そんな気持ちを知ることができたんだ。