これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
真面目なトーンで伝えてきたともちゃんは返事を聞く前に「よしっ、完璧!」と追いかけるように言って、私の肩をポンっと叩く。
金づるとしか思われてない、
別れたほうがいい───、
ともちゃんの思いは、いじわるなんかじゃないこと。
私がもっと傷つくハメになる前にやめておけと、そう言ってくれている。
でもねともちゃん、本当はもう、かなり傷ついてるんだ。
「ねえねえ見た!?やばくない!?」
「見た見たっ!あ~!制服姿もいいけど、ジャージもいいんだよね~!!」
「そこじゃないって!!ピアス!!ピアスしてたの見てない!?あんなの狙ってるとしか思えないって…!!」
それにしても騒がしい。
教室内もそうだし、廊下に出るともっと濃く聞こえてくる内容。
「セレナちゃんとお揃いなんだって!!なにそれやばいんだけど!!
普段の黒髪センターパートにピアスって……どこの韓流アイドル!?」
「羨まし~!!あたしもそーいうのしてみたい!!イケメンとっ!!」
「なつセレ最高ーーっ!!」