これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
たぶん、褒められては…ない。
それくらいはわかる。
だって私が誰よりも自覚しているから。
「勝吾くんの笑った顔、すきなの」
精いっぱいだった。
私は勝吾くんのことを想って行動するたびに、“精いっぱい”を頑張る。
でも勝吾くん、高田さんといるときのほうが私といるより何倍も楽しそうだったな…。
きっと彼女にはゲームを買ってもらえなくてもあの笑顔を見せるんだろう。
「って言ってる桜乃は、笑えてなんかないのにね」
聞き落とせなかったともちゃんのつぶやきに「そんなことないよ」と、ここでも精いっぱい。
そんな今日は、ちょっとだけ変わったことがあった。
《今日ってバイトないよな?一緒に帰らね?》
メッセージを開いてしまってからびっくりした。
それもこれも最近はずっと“本当の彼氏”ではなく、“ニセモノの彼氏”からの連絡ばかりだったから。
こまめに返さなければ不機嫌そうな反応をされる、なんて可愛いものじゃなく。
ところ構わず連打で送られるという、よく分からない嫌がらせをしてくるのだ。