これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
なので癖のようなものが身体に染み付いてしまい、今もすぐに開いたのだけど……。
《どうかしたの?》
動揺して、そんな返信をしてしまった。
どうしてこんなに動揺してるんだろう。
まるで勝吾くんに隠し事があるみたいに。
隠し事は……ある。
でもそれはお互いだ。
私だけじゃない、勝吾くんだってそう。
《いや、久しぶりに一緒に帰りてーなって》
《うん。じゃあ帰ろう》
《俺日直だから、ちょっと待てる?》
付き合った当初から使っているOKサインのスタンプをポンっと送る。
電話もナシ。
ゲーム関連のメール以外はとくにナシ。
学校ですれ違っても目が合うくらいで、立ち止まることすらしない。
完全に終わっていると言って間違いはないのに、こんなふうに彼からのお誘いがあるということは。
───ああ、なるほど。
昼休み中、余った時間に確認したスクールバッグに答えがあった。
《今日の放課後、屋上ね》
まさかのそのあと違う男の子から新着1件。
「え」と、さすがに迷うこと数分。