これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
その日に打って、その日に返信が返ってくることは滅多にない。
どうせ学校で会えるから、と彼は言う。
付き合う前や付き合った当初は毎日のようにしていたけれど、月日が経つにつれて薄れていった。
こんなものか、と納得してしまうようになった今が、少しだけ侘(わび)しい気持ちになる。
「あ、そうだ」
《シフト増やしてもらえるようになったから、新作のゲーム買えそうだよ》
送って数分で、まさかの返信。
《まじ?さんきゅ》と、それだけ。
「ふふ」
力の出ない笑い声がこぼれた。
きっと今の私の顔は、情けない。
春が過ぎて心地のいい涼やかな5月の夜風、私には冷たいくらいだった。
『正直なこと言っていい?なんかさ、最近ずっと違和感しかなかったのよ』
「まって、まって、ともちゃん」
『いや待たない。覚悟きめて桜乃』
家に帰ってご飯を食べて、お風呂に入って、バイト前の時間に進めていた宿題の残りを手早く終わらせる。
そのあとかかってきた友達からの電話にて、すーー、はーー、と、深呼吸。