これが恋だなんて、知らなかったんだよ。

地獄のダブルデート

「…セレナ、なんでこの人と居んの」


「ええっとお、そこで会ったの！たまたまだよ？」


「…そう」



たまたま、なんかじゃないってことくらい。

わかってるよね三好くん。


私の気持ちは三好くんがいちばん知っているはずだし、三好くんの気持ちも私が痛いくらいに理解できる。



「なになに～、ふたりも知り合いなのー？」


「俺たちもたまたま。…そうですよね、センパイ」


「…うん」


「ふうん？なんかあっやし～」



ふたり“も”って。

もしや高田さんって嘘をつくことが苦手なのかな…。

だからあんなにも堂々とキスができちゃうんだ、絶対そうだ。


怪しい、
それはあなた達じゃないですか。



「初めましてー。あたしナツくんの彼女の高田 セレナって言いま～す」


「…はじめ、まして。一ノ瀬、です」



「えーっと確か、イチノセサクノ…先輩？」と、からかうようにフルネームが返ってくる。

どんな言葉を言ったところで私はマウントを取られそうだ。



「もしかしてこれから谷先輩とデートですかあ？」


「……うん」